Web制作の学習段階で営業を意識するべき理由と、初心者がやりがちな遠回り

まずはじめに「営業が大事って聞くけど、正直営業ってよくわからない」
それがWEB制作を学習する大半の方にとっての感想だと思います。
なぜなら一部の人を除き、普段営業に触れる機会はあまりないですし、大半のweb制作スクールや独学の環境では営業のやり方を教えてもらえないからです。
なので「営業のやり方?よく分からないし難しそう、まだ学習中だからとりあえず後でいいや」と考えて後回しにする方も多いですが、それは悪手です。
あなたがもし、ただ自分でwebページを自分で作れるようになりたいだけで、一切収益化に興味がないのであれば、今から書く内容は覚える必要がないのでブラウザバックしてください。
ですが「収益化したい」「フリーランスになりたい」のであれば、営業の知識は必須です。
なぜなら、どれだけweb制作のスキルがあっても、営業が出来ないと収益化は厳しいからです。web制作スキルと営業スキル。二つがそろって初めて収益化は実現します。
また初心者がやりがちな遠回りとして、学習中に目的を忘れてしまうことがあります(体験談)
多くの方にとって目的やゴールは収益化すること。つまりお金に換えることであり、そのための手段としてコーディングやデザイン、マーケティングなどを覚える方が大半だと思います。
ですが学習を進めるうちに、目の前の課題に取り組むことに夢中になり、収益化という目標が頭の中から抜け落ち、いざスクールを卒業するといったタイミングで「あれ?収益化ってどうするんだろう?」と考えだし、行動を始める。
しかしこれでは遅いんです。
ゴールを意識して進むから、より効率の良い道を歩めるというもの。
ですからまだ学習途中の方や、これから学習を始められる方にこそ、是非この記事を読んでいただきたいです。
Web制作の営業の種類はどんなものがある?

まず営業の種類ですが、大まかに分けて営業には以下の3種類があります。
①エンド営業
②クラウドソーシング系営業
③業務委託営業
順番に概要を紹介します。
①エンド営業とは
エンド営業とは、読んで文字のごとくエンドユーザーと直接つながる営業スタイルのことです。
一企業、個人)関係なく、お客様と直接繋がって営業する方法のことであり、もう少し要約すると、自分一人でお客様と直接繋がる営業を指します。
またエンド営業にも「電話営業」「メール営業」「遠隔営業(Zoom等)を活用した営業」「CRMマーケティング(顧客管理ツール)を活用した営業」というインサイドセールスと呼ばれる手法と、直接顧客のもとへ実際に赴き、商談を取り付けるアウトサイドセールスの二つの種類があります。
②クラウドソーシング系営業とは
クラウドソーシング系営業とは、こちらも読んで文字のごとくクラウドソーシング系(クラウドワークス・ココナラ・ランサーズ等)に登録し、案件募集に応募していく営業方法です。
おそらく大半の方にとって一番聞きなじみがあるのが、このクラウドソーシング系を使った営業ではないでしょうか?
実際にクラウドソーシング系から初め、徐々に収入を上げていこうと考えられている方も多いかと思います。
③業務委託営業とは
業務委託営業とは、企業と雇用契約を結ばず、企業と同じ立場で業務依頼を受けることを指します。
簡単に言うと、法人の持つ案件を代わりに対応して納品するという認識で問題ありません。
業務委託は基本的に法人と結ぶケースが一般的で、web制作会社やスタートアップやベンチャー企業等、提携先は多岐にわたります。
もちろん営業の方法はこれ以外にも多岐にわたりますが、だいたいはこの三つの派生型であることが多いですし、駆け出しの方のほとんどが上記いずれかの営業方法を通ることになりますで、今回はこの三種類について詳しく解説します。

それぞれの営業のポイントをまとめます。
①エンド営業とは顧客と直接繋がる営業手法のこと
②クラウドソーシング系営業とはクラウドソーシングの案件に応募する営業手法のこと
③業務委託営業とは法人から案件を請け負う営業手法のこと
それぞれの営業手法の解像度を上げてもらうため、もう少し具体的にどんなメリット・デメリットがあるのかを解説していきます。
エンド営業のメリット


まずエンド営業のメリットからお話ししましょう。
エンド営業のメリットはいくつかありますが、一番大きなメリットは、顧客と直接繋がって仕事をしていく都合上、間に制作会社等が介在しない点です。
また自身のスキルレベルによっては、工程の難易度や必要スキル、稼働時間などを顧客に伝えることで、単価交渉の余地もあります。
制作会社等に中抜きをされることもないため、他の営業法と比較し単価が一番高い傾向にあります。
さらに、顧客との直接的な関係構築が可能になるため、より深い顧客理解と信頼関係を築くことができ、顧客のニーズを直接聞き取ることができるため、より効果的なサービス提供が可能になる点も魅力です。
エンド営業のデメリット


一方でデメリットもあります。
まず1点目が顧客と繋がるのが難しい点です。
これは当たり前の話ですが、基本的に予算をしっかりと確保できて、web制作に対する理解や解像度が高い優良な顧客層の方々は、当たり前ですが信頼と実績のある大手の制作会社に仕事を依頼する場合が多いです。
裏を返せば、実務経験や実績もなく、スキルレベルも分からない駆け出しの方に仕事を振るメリットが余り無い。というのが現実です。
また2点目のデメリットとして、案件を終わらせるまで持っていくのも難しいという問題があります。
先ほどもお伝えしたように、独学やスクールを卒業したての方の大半は、まだ実績も実務経験もなく、実務に入れるスキル感ですらまだない。その上営業の知識も、クライアントワーク(見積の出し方、要件定義、追加作業の費用交渉の仕方)等もよくわかっていないという状況である場合が多いです。
そのような状況でしっかりと案件を納品するまで持っていくには、かなりの苦労が伴います。
そもそも初心者には案件の難易度を見極めることすら困難であるケースが多く、最悪の場合納期に間に合わず損害賠償を請求されてしまうケースもあります。



納期遅れの炎上案件について詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
エンド営業で成功するには


ここで1つ解決法としてご紹介したいのが、コネを利用する方法です。
家族、親戚、友人、はたまた顔なじみの飲食店、誰でもいいですが繋がりのある方に片っ端から声をかけてみると、案外身近にHPを必要としている潜在的な顧客は居ます。
さらに親戚の親戚、友人の友人のようにたどっていくことが出来れば、当たれる数は鼠算式に増えるので、試してみることをお勧めします。
心理として、全く知らない赤の他人に制作を依頼するよりは、何か縁のある人に制作を依頼したいと考える方も多いですし、お互いに条件がかみ合えば、win-winとなるケースも多いです。



僕も沢山の方に話を聞いてきましたが、全く縁もゆかりもない方に営業して案件獲得や、0-1達成される方はごくわずかで、エンド営業で案件獲得されたり0-1達成された方のほとんどはそういったコネでの繋がりからといったケースでした。
また顧客が友人や親戚等である場合、ある程度状況に配慮して貰える場合も多く、納期にも余裕があるケースが多いです。
ですのでまず最初からエンド営業で大型案件を受注するのは厳しいと考え、エンド営業に挑戦する場合は、まず知人や友人などから当たっていくことをお勧めします。
そもそも自分一人で業務を回さないといけないエンド営業は、豊富な知識や経験が必須であり、上級者向けの営業方法であるため初心者の方にはあまりおすすめしません。
エンド営業のまとめ


エンド営業のメリットは、顧客と直接やり取りができることです。
制作会社を介さないため、単価交渉がしやすく、自分のスキルを最大限に活かすことができます。
しかし、初心者には少しハードルが高い面もあります。
信頼や実績がないと、顧客を獲得するのが難しく、案件を完了させるまでに大変なことが多いです。
まずは友人や知人に声をかけてみるのが効果的です。
エンド営業は上級者向けですが、コネを活かすことで成功のチャンスが広がります。
クラウドソーシング系営業のメリット


次にクラウドソーシング系営業のメリットから解説します。
メリットとしては、まず手軽さがあります。
基本的にオンラインでのやり取りになるため、簡単に登録し、好きな場所、好きな時間に、好きな案件に応募して働けるため副業にも向いています。
また案件の内容も比較的難易度が低いものが多いです。
クラウドソーシング系営業のデメリット


一方でデメリットも多いのが、このクラウドソーシング系営業です。
結論からお伝えすると、僕としてはクラウドソーシング系を使った営業はあまりお勧めしません。
まずクラウドソーシング系に登録されたり、どのような案件があるのかを確認された方は、皆様だいたい口をそろえて以下のようなことをおっしゃいます。
①単価が安い(1万円どころか5千円以下の案件もざら)
②倍率が高い(案件の倍率が10倍を超えることもざら)
では、なぜこのような状況になっているのか?そこにはしっかりとしたカラクリがあります。
まず大前提としてWeb制作界ではほとんどのスクールや環境では営業について学ぶ機会がありません。
ですのでそういった方の大半が、スクール等を卒業し、まずはクラウドソーシング系に登録し案件に応募するのです。
一方でクラウドソーシング内に回っている案件の供給量は一定です。
ですので需要と供給のバランスが崩壊してしまい、結果としてあれだけ単価が安く、倍率が高くなってしまっているのです。
さらにクラウドソーシング系を利用する駆け出しの方は、まず実績を作るために単価を抑え、案件を獲得されようとする方が多いです。
そして顧客側からしても、駆け出しの方同士を比較した場合、スキルレベルに大きな差が無いケースが多いため、より低単価で案件対応をしてもらえる方を選ぶ傾向があるので、価格競争がさらに激化するという側面もあります。
また顧客の層もあまり良くない傾向にあります。
先述した通り、予算をしっかりと確保できて、web制作に対する理解や解像度が高い優良な顧客層の方々は、当たり前ですが信頼と実績のある大手の制作会社に仕事を依頼する場合が多いです。
ではそうせずにクラウドソーシング系を利用する顧客層がどういった方々かというと、自ずと見えてくる部分があると思いますが、予算があまりない・極力単価を下げたい・web制作についてあまり分かっていない・気軽に始めてみたいという方々がほとんどです。
そして上記のような顧客と、実績も実務経験もなく、実務に入れるスキル感ですらまだない。
その上営業の知識も、クライアントワーク(見積の出し方、要件定義、追加作業の費用交渉の仕方)等もよくわかっていないという駆け出しの方が、案件募集を通してマッチしてしまうと、トラブルになってしまうケースもよくあるということです。
クラウドソーシング系営業でよくあるトラブル事例


まず1つ目が、お客様から「あれもこれもやってよ」と無茶ぶりされ「その単価では厳しいです」と言いたくなるようなケース。
ですが大半の方は駆け出しの初心者で、高い倍率の中ようやく取れた初案件であるため、このような状況を普通だととらえ、このような無茶ぶりに応じてしまい、稼働時間が大幅に伸び、結果的に自分で自分の首を絞めてしまうのです。
時給換算してみると300円以下になられている方も散見されます。
また無茶ぶりを断った場合、メッセージ上で揉めてしまうケースもあるなど、こういったトラブルもよくあるのがクラウドソーシング系の難しい点です。



炎上案件について詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
クラウドソーシング系営業のまとめ


ここまで読むと、クラウドソーシング系営業はデメリットばかりに感じるかもしれませんが、紹介した事例が全ての案件に当てはまるという話ではありません。
あくまでそういった傾向が強いという話であり、またフリーランスや収益化を強く意識するなら、低単価・高倍率であるためお勧めしないという話です。
実際に良いお客様もいらっしゃいますし、副業や実績作りのために利用するというのが一番メリットが多い利用方だと思いますので、目的に合わせた利用をお勧めします。
業務委託営業のメリット


最後に業務委託のメリットから解説します。
メリットとしては、どれだけ頑張っても基本的に単発で終わるエンド営業等と違い、しっかりと信頼関係を作ることで、継続的に案件を受注しやすいという点があげられます。
また、作業量ではなく成果物の納品に対して報酬が支払われるため、企業から業務の進め方について指揮命令されることがなく、時間的な拘束もない自由な働き方ができることが挙げられます。
業務委託営業のデメリット


一方、デメリットとしては、企業の経営状況によって契約が打ち切られる場合もあるため、安定した収入を得ることは容易でない場合もあります。



僕も体験談として、いきなり契約を切られ、対応していた案件の単価も途中であったため振り込まれなかったこともあります。
また、業務委託で働く場合は個人事業主に該当するため、労働基準法が適用されません。
確定申告や保険料の支払いなどの事務・会計処理も自分で行うことになります。
またエンド営業と比較した場合、どうしても単価が下がる傾向にあります。
業務委託営業のワンポイントアドバイス!





僕がフリーランスを目指す場合に特におすすめしたいのが、制作会社との業務委託になります。
これは決して僕が制作会社から独立したからでは無く、単純に制作会社との業務委託はメリットがとても多いからです。
まず収入が安定しやすい点が挙げられます。
これは何故かというと、フリーランスに仕事を振るディレクターとしても、毎回別の方と業務委託を結び、一から関係構築してことは大変であるため、しっかりと実務をこなしていけば、優先して仕事を振って貰うことも可能となりからです。
そうなれば定期的に案件の打診が来るようになり、その案件を受け続けている限り収入が安定します。
収入が安定することで、心理的安全性を確保することもでき、結果的に収入を上げていくステップに入っていきやすくもなります。
また自分で営業せずとも案件を受注できる点も魅力です。
忖度なくお伝えすると、営業はとても大変です。
スキルや知識も必要ですし、確実に取れるという案件は基本的にないため徒労に終わるケースも多いです。
ですが制作会社との業務委託であれば、営業をし続ける必要はなく、また本来は営業に費やしていた時間を実務に回すこともでき、より効率よく案件を進められます。
さらに業務委託しているというネームバリューは非常に大きく、これはエンド営業の際にも有効です。
何故なら制作会社と業務委託しているということは、制作会社からお墨付きをいただいているということなので、顧客にも安心感を与えることができ、またフリーランスをしていく上でも、法人と取引実績があるというのは大きなアドバンテージになるからです。
業務委託営業のまとめ


業務委託は、フリーランスとして独立した時から今に至るまで、僕が一番行っている営業方法になります。
もちろん一定のスキルレベルは必要ですし、急に契約を打ち切られるケースもありますが、組織やチームとしての動き方を理解しているコーダー・デザイナーは重宝されたりもするので、フリーランスを目指すならぜひ一度検討してみることをお勧めします。
初心者が陥りがちなWeb制作営業のミス2パターンとは


今まで色々な方とお話ししてきましたが、多くの初心者が陥りがちなWeb制作営業のパターンも存在するのでそちらもご紹介します(体験談含む)。
まず1つ目が営業のやり方や必要なスキル・知識も分からないため、クラウドソーシング系に登録し、案件を受注していくのですが、その中でトラブルを抱えてしまったり、何とか納品を終えても単価が安すぎて、自分の目標収入を得るためには、あと5~10倍稼働しなければならないと気づき、絶望してしまうケース。
2つ目が、クラウドソーシング系で安定した収入を得ていくのは厳しいと気づき、エンド営業をするしかないと決意して日に営業メールを100件頑張って送ってみたりするケース。
ですが、どのような顧客に・どのような文章で・どのような時間帯に・どのくらいの量送れば返信率が高いかも分からず、また少しでも早く実績や収入を得るため焦って空回りしてしまい、結果的に一つもヒットせず意気消沈してしまう方も多いです。
結局営業って何から始めればいいの?収益化までのお勧めのロードマップ


では結局どのように営業していけば良いのでしょうか?僕的にお勧めの方法としては最初に制作会社と業務委託してしまうことです。
まず制作会社と業務委託をすることで、自分のレベルにあった案件に対応していくことができます。
なぜなら制作会社にはディレクターがいて、個々のフリーランスのスキルレベルをしっかりと把握したうえで業務を振るからです。
そして自分のレベルにあった、なんとか頑張ればギリギリ対応できる案件をこなしていくことで、最短でスキルのレベルを上げることができます。
また案件に躓く事態が発生しても、制作会社にはディレクターや他のコーダー・デザイナーもいるため問題になる前に対処できることがほとんどです。
一方でエンド営業の場合、案件の難易度を見極めることも難しく、また基本的に自分一人で案件対応しなければならないため、失敗しやすく最悪の場合損害賠償を請求されるケースなどもあります。
また反対にクラウドソーシング系で受注できる案件は、低単価であるが故、レベル感が低い案件も多く、あまりスキルアップには繋がりづらい実態もあります。
営業種類 | スキル獲得しやすさ | 収入の安定性 | 単価 | 競合 | トラブルリスク |
業務委託営業 | しやすい | 高い | 中 | 少ない | 低い |
エンド営業 | 中 | 中 | 高い | 少ない | 中 |
クラウドソーシング系営業 | しにくい | 低い | 低い | 多い | 高い |



ですので、ステップとしてはこの順番が良いかなと思っています。
まずは業務委託契約を結ぶところからです。
収入も安定していますし、振られた仕事は積極的にこなし、スキルをつけていきます。
案件をこなすと実績も増えるのえポートフォリをも充実させます。また、対等な関係として業務提携も結び市場価値を高めます。
案件を振るディレクターの仕事も巻き取っていき、クライアントとのやりとりをしていきます。そして、やり取りの中でクライアントワークの力を身につけていきます。
この流れがもっとも効率が良いのではないかと僕は考えていますし、僕もこの方法で独立しました。
そうしてフリーランスとして独立していくのに充分なスキルをつけたタイミングで挑戦していくべき領域がエンド営業だと僕は思いますし、上記のようにしっかりスキルをつけたうえでエンド営業に入っていけば、案件も受注しやすいですし、実績も収入も安定しているため不当な値段で案件を受ける必要もなくなります。
なのでまずは制作会社と業務委託できるレベルまで、自分のコーディング・デザインスキルを上げていくことが先決です。
抑えるべき具体的なスキルやレベル感、より具体的な案件受注の方法については、また別の記事で個別に掘り下げて紹介したいと思います。
最後に


最後に一つ告知をさせてください。
現在僕は制作会社化を目指しており、差し当たって一緒に働いてくれる方を募集予定です。
そのため新しく入ってきた方にも再現性を持って教えていけるノウハウを僕自身が積むため、一緒に働ける方を探すため無料の相談を実施します。
今回の記事でも書ききれなかった業務委託のより具体的な方法や、今のスキルレベルを客観的に評価してほしいなどのご相談にもお答えしていますので、ぜひご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。